宝物 番外編付き
タクシーがウチのマンションの前に停車した。

私が降り、主任にお礼をしようと思ったら、主任はお会計をしてタクシーを降りた。

「あの〜……」

「栗原さん……あのさ……」

「主任、具合が悪いんですか?」


「いや。具合は悪くない……栗原さん。」

「ハイ……」

「あのさ、さっき光が言ってたオレが……
ずぅーと その…
片思いしてたのは……君なんだ!
オレは君に一目惚れしてずぅーと好きでさ〜、
一緒に働くようになって…
更に君の真面目で頑張る姿に惚れてるんだ!」

「へ? 私ですか? いつ…」

「村田専務… いや、村田のおじさんが亡くなった葬儀で君を見て…その〜一目惚れをしたんだよ〜。
俺は真山ではなく、佐山 蓮なんだ。

君のお爺さんが働いていたサヤマの息子です。
創業者の会長が俺の爺ちゃんで……
社長は、親父なんだ。
栗原 くるみさん! 俺と結婚を前提にお付き合いして下さい! お願いします!」


「え! 結婚!… え〜あの〜突然で…
あの……少し時間を下さい…。
1週間後…にお返事させていただけますか?」

「わかった。1週間後に……
突然ビックリさせてゴメンな。じゃあ!」

真山主任は、クルリと向きを変え歩き出した

「主任! 駅はあっちですよ。」

「あ、そう。 ゴメン。おやすみ」と言って、速歩きで立ち去った。


くるみは、しばらく呆然と立っていたが、我にかえり、マンションに入った。
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