最愛の人に恋なんて出来やしない
頭が混乱して、何を言われても信じられない。

そのとき、

「あれ?もしかして、その子が愛しのミーナちゃんなの?」

さっきの女性は、どうやら公園で煙草を吸っていたようで、そのまま近付いてくる。

「おい!アンタのせいで、ミーナが誤解しただろう!」

ユタが怒ると、女性はギャハハと笑いながら、

「気持ち悪いこと言わないでよ!私、そんなヤバい趣味ないし。ミーナちゃんさぁ、このバカなんだか優等生なんだかわかんない弟、頑張って相手してあげて。とにかく社長の椅子は、絶対コイツに譲る気はないからね。あとになって気が変わったなんて言わせないでよ」

そう言うだけ言うと、彼女は、今度は香水と煙草の入り交じった匂いを残して去っていった。
< 68 / 84 >

この作品をシェア

pagetop