最愛の人に恋なんて出来やしない
ある日、産婦人科の待合室で、

「初産?まだ随分若いみたいね」

隣に座っていた、30才ぐらいの女性に突然声をかけられ、驚きつつも、そうですと答えた。

私は、これまで友達というものがユタ以外に居なかったので、もはやどうやって友達を作るかなどわからなかったし、自分に友達というものは無縁だとさえ…。

それなのに、この女性とは、ごく普通に話すことが出来て、2回目にまた会ったときには、連絡先も交換した。

「ママ友っていうと面倒なこともあるけど、悪いことばかりじゃないよ」

そう言う彼女こそ、既に一人出産している先輩妊婦として、私の不安を判ってくれる。

ユタに、初めて女友達ができて嬉しいと話すと、

「ミーナにとって嬉しいことは、俺だって嬉しいよ」

そう言って微笑んで、ユタはお腹の子供に話しかけていた。

当然のことながら、初めてのお産に不安はつきものだ。

しかし、最愛の夫と心強い友達が居たら、きっと大丈夫だろう。

必ずしも、いいことばかりでないのは想定の範囲内だが、きっと乗り越えられる。

私は、ひとりじゃないから…。
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