ひびき
1章

夏の風

窓から見えるのは小さく切り取られた空。
青い青い空。

今見えるのはスカイブルー色のキャンパスに真っ白な一直線。

そこでふぅ。とため息をつく。

これは飛行機雲だ。
こんな回りくどい言い方しなくたっていい。

私はそのままベットに寝転がる。

現実を見るんだ。

むわりとした消毒液のような匂いが周りに広がった。

もう慣れっこだが。

いつまでここに居ればいい?

精神科なんてたまらない。

私は正常だ。

しかし私は反射的に自分の手首を見つめていた。

無数の傷。
一本、二本、三本・・・
数え切れないくらいだ。

過去の私へ。
一体何をしていたの?
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