ルージュに託したアマリリス




1年半ぶりに、ちょっといいかも。

なんて思った彼との出会いは、数時間前。
知人の結婚式の二次会だった。





結婚式の二次会は、生涯のパートナー探しの場。
なんてことを聞いたことはあるけど、そもそもお祝いにきてるのになんだかなぁ。と思うのは、私だけなのか。


参列した私達をもてなそうと、ビンゴゲームやらロシアンルーレットやらで盛り上げてくれる幸せそうな新郎新婦と、祝うよりも、お目当てのお相手探しに夢中な人達をみて、どうしても複雑な気持ちになってしまう。



『新郎新婦の立場からしたら、大切な人達が、自分達の結婚式で結ばれるのは嬉しいことだよ?』と。


今、人生の中で最も美しい姿をして、世界で一番幸せそうに笑う、私の親友は、そう、言っていたけど。




『凛香(りんか)も、はやく前に進めますように』



数時間前に受け取った、凛と咲き誇るアマリリスの眩しさを片手に『進むための決断だったんだけどな』なんて、つぶやいてみる。1年半前の私のこと。



本来はブーケトスが成される場面で、真っ直ぐに私へと近づいてきた百合(ゆり)が差し出したブーケは、時間が経ってからみても、鮮やかで瑞々しい。



つい、シャンパンが進むのは、そのせいだと思う。





「ね!凛香(りんか)!
凛香もあっちで一緒に飲もうよ!
いい感じの人達捕まえたから」



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