同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
会いたいな…

駅の近くまで来たときだ。
目の前にチラシのビラをサッと差し出されてハッとした。

「明日ここにオープンします。京都の和菓子屋吉屋政長(きちやまさなが)です。また帰りに寄っておくれやす。」

「え?」

「あ…」

顔を上げて目が合って…お互いの存在を認識した。

「陽輝の彼女さんやん。このへんで働いたはるの?」

にこっと笑った顔はかわいくて、到底27歳になって見えないと思った。
相変わらず表情豊かでくるくると表情がかわる。

「ええ。5分ほどいったとこにビルがあるんです。あ…」

そうだった。年末にいろいろあったんだよね。
あのあと、陽輝も何もいわないからどうなってるのかは知らないけど…

「年末はいろいろ大変でしたね。陽輝から聞きました。お父さん大丈夫ですか?」

「ええ。おかげさんで。今は元気に働いてます。から、今日ここにやっとのびのびになってたけど開店できたわけやし。陽輝のおかげで助かったわ~。」

「お元気になられたのならよかったです。開店されるんですね。明日また寄ります。」

「あ、陽輝に買うてもろたらええやん。もうすぐホワイトデーやし。どうせまた陽輝はたくさんもろたんやろ。陽輝の彼女やったら大変やろな。」

くすっと笑う美玖さん。

「あ。そや。中寄って行って。ちょっと意見も聞きたいし。」

「え?いいんですか?」

「うん。ぜひ。開店前やし、バタバタしてるけど。」

そして招き入れられるがままに中に入った。


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