ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 ――なっ、なんでそんなに私を見てくるのっ。……あ、もしかして。  いくら可愛い衣装でも、こんな自分が着たら台無しかもしれない……律はそんな気持ち
になってくる。

「えっとぉ……衣装、似合ってない?」

 恐る恐る聞く律に新條は、すぐに答えた。

「いや可愛いです」
「可愛い? あ、……衣装がね」
「いや、先輩が」
「からかわないで!」

 律は声を荒げた。だが内心ではドキドキしている。

「からかってないですよ。マジです」

 ドッドッドッ。心臓の音がうるさい。

「俺――先輩を好きになりました」

 信じられない言葉が、新條の口から飛び出した。

 ――私の聞き間違い……かな? だって、私のこと『好き』だなんて……。

「ええと……もっかい……言ってくれる?」
「聞こえなかったんですかぁ? はぁ、まったく先輩はそういうところが……。いいですよ、何十回でも、何万回でも言ってやりますよ!」

 呆れながらも新條は、律を正面から優しく抱きしめる。そして、耳元で。

「好き」

 シンプルに、そう言った。

 ――聞き間違いじゃなかったー! 『好き』って。私のこと『好き』ってはっきりと……! どうしよ、私たぶん、顔真っ赤だ。年下のくせに何で新條はこんなに余裕そうなんだろう。

 ドッドッドッ。ドッドッドッ。全然収まる様子もない心臓の音。
< 104 / 130 >

この作品をシェア

pagetop