ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
「ダイヤモンドガールがダメならせめて、あっちゃんのグループの曲にしようよ。みんなもそれなら許容範囲だろ?」

 新條といつも仲良くしている小松くんが、周りの顔色を伺いながら発言した。

「どの曲もテンポが速すぎて、みんなついていけないだろうから却下」

 新條の答えに、悔しがる小松くん。周りの皆は、みるみる落ち込んだ顔になる。それは律も同じだった。

 ――最後の望みは断たれたんだ……。

「私は納得いかない。衣装はダイヤモンドガールのイメージに合わせたんだもの。月影さんだって、そうでしょ? 振り付けはもう完成したんだし、絶対に変更したくないよね?」

 深川さんが律に、同意を求める。
 そこで初めて律は、冷静になって考えた。

 これって、変更になった方が良いんじゃないのかな……。これまではるな先生以外にはなんとか正体がバレなかったけど、大勢の観客の前で踊るとなるとリスクが高いし。観客は新條と南野ひかりは熱愛中だと思っているだろうから、この曲を踊ったら不快に感じて怒り爆発かもしれないし……。そんなことになったら大変だよね。……と、頭の中に心配ごとが次々と浮かんできて、律は答えた。

「……変更になっても良いよ。仕方ないと思うし……」

「いいわけねぇでしょ! あんな名曲他にないですよ。先輩だって、本当はダイヤモンドガールで踊りたいんじゃないんですか?」
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