ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
「僕、人見知りで、中学に入学したばかりの頃は友達がいなかったんス」
「へぇー……」
「それなのに体育の授業で先生が『ペアになれ』って言ってきて。困りましたよ、周りはどんどん二人組になっていくのに誰も僕と組んでくれないんス。とうとう独りぼっちだーと思っていたら……あっちゃんが声をかけてくれたんス」

 良いところあるじゃないか。そう思い小松くんの話を聞く気になった律は、廊下の壁に背中を預けた。

「あっちゃんはその頃から学校一の人気者で、僕とは対照的な存在でした。どうして僕なんかと、と思うじゃないっスか。何か裏があると最初は疑って、冷たく接してたんすけど……、それでもあっちゃんは僕が独りでいると声をかけてくれて。騒いだりウザ絡みしてきたりせず、そっとそばにいてくれたんス。分け隔てなく、接してくれたんス」

 ――そんなことがあったんだ。新條って、そういう奴なんだ……。

「アイドルのことをスターって言いますけど、あっちゃんは遠くでキラキラ輝くスターっていうより何ていうか……太陽みたいな、あったかい奴なんス」
「太陽かぁ……」
「月影先輩は勘違いしてるっス。ヤンチャで生意気なとこがあるから勘違いされやすいけど、あっちゃんは決して悪い奴じゃないっス。どうか、あっちゃんを避けないでやってもらえませんかね」
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