幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「はあ」


唯斗くんはため息を一つ、吐いた。

呆れられている?

ため息ひとつなのに、今の私はビクッとしてしまう。

そんな私の様子に気が付いたのか、唯斗くんは頭をかいた。

サラサラの髪の毛が少しだけ乱れる。

そう思っていると、唯斗くんは私の手を取り歩き出した。



「ちょっ。どこ行くの⁉」

「体育館」

「ええ。だって今は体育祭の準備中だから使えないんじゃ……」

「もう準備終わる時間だろ」

「そっか」



ってことは、もう少しで体育祭始まる時間じゃん。

体育館に行っている暇ないよ?

早く教室戻らないと遅刻しちゃう……。



「唯斗くんっ。教室戻ろう?」



握られていた唯斗くんの手を引っ張って、教室へ引き返そうとしたけれど、私の力じゃ唯斗くんにはかなわなかった。
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