幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
そうなったら『家事はやらなくてもいいよ』って言われてしまうだろう。

彼らは優しくて、人を気遣う力がある人だから……。



「私はこの家が好きです。家事も好きでやっています」

「……」

「芸能界と2人のサポートも頑張りたいんです」



そう言うと、少し眉間にしわを寄せる春原さん。

少し考えた様子のあと、手帳に目を落とした。



「それは体や心に大きな負荷がかかります」

「でも……」

「しかし、私が有村さんをこの家で彼らと同居をさせたのは、お二人のことをサポートしていただきたいからです」



春原さんは手帳から目を話すことなく言葉を続ける。

そしてペンを走らせる。

なにを書き込んでいるのか気になるが、今は春原さんの話を聞こう。



「……彼らには当日まで、新人アイドルが誰なのか秘密にしておきましょう」

「っ! ありがとうございますっ」

「そうなれば、コンサートのリハーサルも別メニューとなりますから当日のイメージトレーニングは難しいでしょう」



それでもやりきれますか?

と、私に問う。
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