ロート・ブルーメ~赤花~
 そうして車に乗り込んだ隆志さんを見送ると、愁一さんがふぅ……と息を吐いた。

「まさか今日来てたとはな」

 明らかに緊張していたという様子。

 あんな優しそうなのに、そこまで緊張するような人だろうか?


「紅夜の養父なんですよね? あの人。そんなに怖い人なんですか?」

 優しい顔と怖い顔を持つ紅夜と同じように、隆志さんも怖い部分があるのかもしれないと思いなおして聞いてみる。


「いや、怖いというかな……。まあ、ある意味怖いが……」

 要領を得ない言い方に首を傾げる。

「あの人自身は優しい人だよ。でもな、経済界でもかなりの地位があって……怒らせたら何をされるか分からないってところが怖いかな」

「ああ……」

 なんとなくは分かった。

 街を一つ買い取ったくらいだからかなりのお金持ちだろうとは思っていたけれど、あたしの想像を超えるほどの人だったらしい。


「でもそんな人と年に一度は会ってるんでしょう? 愁一兄さんって何かすごいね」

 会話に混ざりたくて仕方なかったんだろう。

 今まで黙っていた日葵がここぞとばかりに話しかけてきた。


「え? いや、すごくなんかねぇよ。紅夜のお使いだしな」

「紅夜のお使い?」
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