ロート・ブルーメ~赤花~
「っ、あ……」

「マイナ・ゾンネ……俺を温めてくれる太陽。お前の熱が恋しかった……」

 あたしをゾンネと呼ぶ紅夜はことさら甘く囁く。

 あたしは何も考えられないくらい頭が熱くなって、早々に白旗を振った。


「あたしも、会いたかった……から」

「うん」

「紅夜の温もりが、恋しかった……」

「ああ」

 満足気に相槌を打った紅夜は、よく言えましたとばかりにあたしの頭をポンポンと叩く。

 そのまま撫でられ、耳のふちをなぞる様に指が下へ行き、顎のラインをなぞって離れていく。


 キラキラ輝く金色。

 それが縁取る顔は、妖艶に微笑む。


「行こう」

 離れた手はそのままあたしの手を取って、引いていった。


 甘く、妖しい金の狼。

 夜の紅夜は、やっぱりキケンな男だった。


 甘さが加わった分、さらにたちが悪くなってる気がする。

 でも、そんな紅夜にあたしは溺れてしまってるんだ……。
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