ロート・ブルーメ~赤花~
 一人では立てなくなるほどに溶けてしまうと、紅夜はあたしの身体を抱きかかえた。

「会合は夜だし、まだたっぷり時間はある。会合の前にちゃんと食事にも行くから、安心しろ」

 どこに安心出来る要素があるというのか。


 突っ込みたいけど突っ込めない。


 紅夜はそのままベッドに向かうと、ゆっくりあたしを下ろした。

「あ、の……せめてシャワーを……」

 学校の帰りにそのまま来たから……抱かれるならせめて綺麗な状態でにしたい。


 でも、そんなあたしのささやかな願いも紅夜は叶えてくれない。

「無理、待てない」

 短くそう口にしたと同時に、彼はあたしにのしかかる。


 そして膝立ちの状態であたしを見下ろした。

 満足そうに微笑む紅夜の白い肌が、夕日に照らされ赤く染まっている。

 光が反射して、赤いピアスがきらめいた。


 ああ、やっぱり紅夜は赤が似合う。

 赤い――花のような人。


 つい、抵抗も忘れて見惚れてしまう。

 そんなあたしに気付いた紅夜は楽しそうに笑った。


「そんなに熱い視線で見られると、本当に抑えが効かなくなるんだけど?」

 そうしてベッドに片手をつくと、もう片方の手がブレザーのボタンを外す。
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