ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「チーズケーキ、おいしいですね」

「ありがとうございます」

にこりと美桜さんが微笑んだ。

「落ち込むなよ。食事を断られることもあると思うぞ」

「落ち込んでいません。ただどういった人間なのか、興味があっただけです」

「直真さん」

最近、美桜さんは八木沢さんでなく、名前で呼ぶようになった。
会社では八木沢さんと使い分けられ、公私をきちんとわける生真面目なところも弟が気に入ったところなのだろう。
浮ついたところのない、しっかりした女性で本当によかった。

「はい」

「木村さんは私の大切な友人です。絶対に傷つけるような真似はしないでくださいね」

「直真。美桜の友人にまで、手を出すなよ。人として」

―――浮ついていると思われているのは俺の方か!?
「待って下さい。信用なさすぎですよ。二人とも。女に不自由はしていませんから」

「遊び相手には、だろ」
< 28 / 135 >

この作品をシェア

pagetop