ネトゲ女子は社長の求愛を拒む《宮ノ入シリーズ②》
私は素早く打ち込めるように爪は短くして、薄くマニキュアを塗る程度。
余計なものを爪にはつけたくない。
集中力が落ちるから。
ふっ、一瞬の遅れがパーティの崩壊に繋がるからね。
これがプロの気づかいってもんよ。
心の中でドヤ顔をし、後輩の前では『素敵な先輩』の顔でキリリッとした表情を崩さないのはさすがに大声で『実は私、ネトゲやってまーす』なんて言えないからね。
一応、私もそこの分別はある。
グループ全体の入社式で出張した時、携帯ゲーム機のすれ違い機能が0人だったのは苦い思い出だ……。
みんな、ゲームしないんだ……ってなった悲しい歴史がある。
それ以来、私は会社でゲームが趣味だということは絶対に公言しないことを誓ったのだ。
ここは私の住む世界とは別世界だから―――しんみり。

「見てくださいよ。これ!」

「社内報ね」

いつも通りでなにも社内報さんにお変わりありませんが。

「社長、かっこよすぎじゃないですか」

写真嫌いな社長が珍しく載っていた。
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