遠い思い
遠い気持ち
室内灯が消され、オーディオが放つ光だけで照らされた薄暗い室内。

静かな・・
静かな暗闇のなかで、私と彼はキスをしていた。


彼の部屋は暖房が効いてなくて肌寒さを感じるが、彼に触れている部分はとても暖かい。

唇を合わせたまま、彼の右手が私の服の中に慣れた手つきで入ってきた。


私の肌の感触を確かめるように、ゆっくりと上へ上ってくる。


♪Prrrrr・・♪Prrrrr・・・


彼が私の上服を脱がしたとき、彼の携帯がなった。
彼は何事もなかったかのように私から離れ、何事もなかったかのように電話に出た。


「もしもし?・・・」


電話の相手は彼と仲の良い男友達のようだ。
私の方をチラリとも見ることなく、彼は友達と世間話を続けた。



今まで彼の体温で暖かかった体が、急に熱を奪われ寒くなった。
もう一度服を着るのも間抜けなので、私は布団を深くかぶって彼の電話が終わるのを待った。

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