御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
「直真さんはどちらかというと、損得で付き合うタイプですからね。本当に汚い大人ですよ。雅冬さんは素直で可愛らしい感じだから、きっと直真さんよりモテますよ」

「誰が汚い大人だ」

八木沢さんはじろりと有里さんを見て、ため息をついた。

「華やかさでは瑞生様よりは上でしょうね。付き合いたいと言っていた女は多かったと思いますが。まあ、来るもの拒まず、去るもの追わず。そんなかんじですよ」

「直真さんと同じですね。はー、モテるって一つの自慢ですか」

ひくっと八木沢さんは頬をひきつらせていた。

「必要以上に心配することはないかと。仕事を放って追いかけるのは菜々子さんだけでしょうからね」

「直真さんもたまにはいいこと言いますね」

うんうんと有里さんがうなずいた―――その時、ピンポーンとチャイムが鳴り、八木沢さんが待ち構えていたかのようにサッと立ち上がった。

「有里。獲物がきたぞ」

獲物!?
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