御曹司社長は双子の姉を溺愛したい!
つまり、最初から、綾香さんをおびきよせ、はめるつもりだった―――?

「えっと、綾香さんを差し向けたのは聖子さんかなあって思っていました。でも、私への嫌がらせかと」

「そうなると、首謀者はわかりますよね?」

「雅冬さんのお父さん!?」

有里さんは首を縦に振り、雅冬さんは苦々しい表情を浮かべていた。

「菜々子さんに嫌がらせする目的もあったと思いますけどね」

と、有里さんは付け足した。

「宮ノ入グループの株は親族が過半数を所有している。株を取得し、親父は株主総会を開き、社長以下、役員を解任するつもりだった」

「それって。新しい社長は?」

「瑞生のことを綾香が嫌っていると、言っただろ?」

「言ってましたねって、まさか綾香さんが社長!?」

「で、親父は副社長か常務に返り咲くつもりだったと言うわけだ」

「お家騒動じゃないですか……」

有里さんはうなずいた。
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