エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
小堺が面食らったような顔をしていた。

「上司に妊娠を報告したのは、お前が日本を発って半月ほど過ぎた頃か。子供は今、二歳になったくらいじゃないか。森尾ちゃんと同期の真野が、俺と同じ局にいる。真野に聞けば、出産の日にちもわかると思うけど……急にどうした?」

布施は十秒ほど黙り、ゴクリと生唾を飲み込んだ。

険しい面持ちで口を開くと、非難も覚悟の上ではっきりと口にした。


「森尾の子の父親は、俺かもしれない」


小堺は目を見開き、ふたりの間に時が止まったような沈黙が流れた。


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