最初のものがたり

だけど、
早速、放課後に体育委員の仕事ができた。

来週の体力測定の為の個人カード作りだ。

画用紙を厚紙に貼ったり切ったり、
表を書いたり、各競技の諸注意を
模造紙に書く仕事だった。

教室に残り作業をした。

まずは個人カードを40枚作りあげてから、
他の作業に入ろうと提案してみた。

バラバラで作業するより、
協力した方が早いと思ったから。

何しろ、私は今日、予定があるし。

だけど、この陰気野郎!

「は?効率的?
俺は木下さんと協力するつもりはない。
1人でやってくれ。」

なんで?

どうして?

「いや。だからさぁ。
協力した方が早いでしょって話なの。
タラタラやりたいの?
早く帰りたいんじゃないの?」

イライラする。
コイツ、頭おかしい!

「しつこいな。
そんな手に俺は乗らない。
いいか、たまたま隣の席で、
たまたま同じ委員だからって
俺に馴れ馴れしくするな。
うっとおしい」

馴れ馴れしい?

一緒に作業するのが?

どうしたんだろう、この人は。

そんな手とは、何?

だいたい、なんで偉そうな訳?

なんだっけ、こういうの。

俺様的な。

俺は他の人と違う的な。

「あー中2病か」

すごい目で私を睨む。

未だにいるんだ、中2病。

初めて見たよ。

無視だ、無視!

後でツバサくんに話して笑ってやる!

「もう、俺に話しかけるな」

キィィー!

っていうか、お前こそ話しかけんなよ。

陰気野郎!

心の中でけちょんけちょんにする。

結局バラバラで始めた作業は、
なかなか終わらず。

私はツバサくんとの約束を
大幅に遅れさせてもらった。

許さない、中2病野郎。

作業が終わり、片付けをし、
帰り仕度をした。

教室を出るときに、挨拶はした。

私もいちお、オトナ。

「じゃあね、お疲れ様。工藤くん」

まぁ想像通りだけどキレイにスルー。

人をこんなに見事に無視できるなんて本当、
見たことないくらい性格悪い。

ムカツク!

あーダメだ!
やっぱり無視は無理!

「ねぇ、どうしたらそんな性格悪くなるわけ?
挨拶されたら返す、これ常識でしょ。
っていうか、普通に話せないわけ?」

我慢できずに工藤くんに言った。

人に面と向かって怒ったのって
初めてかもしれない。

彼は目だけ上げて私を見て、
クスっと笑った。

笑った?今。

何?

怖い。

「今度はそういう作戦か。
なるほどね。俺を怒らせる?
あんたさ、
今までの奴の中で1番面倒くせぇーよ。
興味ないフリならまだ分かる。
それでダメならケンカふっかける。
頭、おかしいんじゃねぇの」

何を言ってるの?

どうした?

何がどうなってるの?

理解不能で一瞬思考が停止したけど、
すぐに合致した。

やっぱり、中2病なんだ。

それに、本当にヤバイ人なんだ!

いきなりキレたり、笑ったり。

怖い!

いつでも逃げられるように構え
しばらく観察してみた。

でも陰気野郎は上を行ってた。

「どうした?今度は黙る作戦?
あ、それとも泣く作戦?
悪いけどそんなのにイチイチ俺は乗らない。」

そう言って教室のドアを
わざと大きな音を立てて開ける。

驚く私の横を通り出て行った。

でも、ハッキリした。

これは。

「中2病なんだな」

私のつぶやきが聞こえたのか、
振り返って睨んで行った。

工藤くんが出て行ってから、
しばらくは呆然とした。

中2病って、

相当ヤバイんだな。

やっぱり関わるのはやめよう。

ふと時計を見て焦る。

ツバサくんに会いに行かないと!

私も慌てて教室を出て駅に向かった。

早くツバサくんに会いたい。

会って色々聞きたい。

中2病の陰気野郎についても話そう。

そう考えただけで陰気野郎さえも
使える奴に変わる。

私にとってツバサくんは神だ!
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