最初のものがたり
勇磨に彼女?

それはちょっと嫌かも。

ううん、すごく嫌だ。

でも勇磨といるとペースを乱されて、
どんどん流され情緒不安定になる。

ドキドキが止まらない。

こんな感情、今まで感じた事なかった。

一緒にいたいのに怖い。

会えないと寂しいのにホッとする。

好きっていうのとは違うような。

それに、私のタイプとは違うし。

「ナナミのタイプってどんなの?」

うんと、
可愛くて守ってあげたくなる感じで、

でも正義感強くて、
真面目でふざけたりもしなくて、

信念あって。安心できる人。

「それってツバサだよね。」

そう言われて反論できない。

「でも、本当にそれって恋愛なの?」

改めてそう言われるとよく分からない。

でも、ハラハラドキドキは怖い。

「でもまぁ私も中井くんは、
全くタイプじゃなかったしね。
でも気がついたら中井くん以外、
考えられないというかー」

結局、のろけか。

私もいつか恋、したいな。

だけど今は恋よりもダンスだ。

チカにダンスの事を話した。

アヤノやトモ、タツキ、ミッキーの事も。

タツキとミッキーの事はチカも知ってた。

「なんか派手な人達だよね。
ダンスか、うん、そんな感じ。
怖そうだって思ってたけど、
ナナミの知り合いならいい人なんだね。」

確かに、タツキとミッキーは、
髪も金髪に近いし、
ピアスもしててちょっと派手。

私も初めは溜まってる彼らを見て、
不良集団かと思ったくらいだし。

「トモってさー。
うちのクラスの友永くんの事かな。
ちょっとイケメンでさ。
チャラチャラしてるんだけどモテるんだよ。」

え?トモって姓なのか。名前かと思ってた。

そしてチカと同じ3組なんだ。

「そっか、友永くんね、新キャラ出現か。」

1人でニタニタするチカ。

でもチカはダンスする私を知らないから、
ちょっと意外だったらしい。

「ナナミさ、
運動神経ないのに大丈夫なの?
ケガしないでよ」

うん、まぁそうだよね。

でもこの夏で私、変わるよ!

今、すっごく充実してるんだよ!

そのうち、見に来てよ、と伝えてチカと別れた。

その帰り道、公園の前で勇磨に会った。
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