社長はお隣の幼馴染を溺愛している《宮ノ入シリーズ④》
幼馴染の私が言うのもなんだけど、要人と一緒に仕事をするのは、大変そうだ。
有能なのはわかるけど、要人の行動力はイノシシ並み。
決めたら一直線で、意思を覆すのは難しい。
「ああ。男の秘書がいるぞ。宮ノ入グループから一緒に連れてきた」
「男の人なの?」
「女だと、俺の貞操が危ない」
冗談で言ったのかと思ったけど、本人は真面目な顔をしていた。
どうやら、女性に迫られたことがあるらしい。
「う、うん……。ま、まあ、そうかもね」
普通は逆じゃないのかなと思いながら、コーヒーをふたつテーブルに置く。
「はい、要人。コーヒーをどうぞ」
要人はまじまじをコーヒーを眺める。
「どうかした?」
「いや。昔、ままごとの時に渡されたコーヒーが、絵の具だったからな。ちょっと思い出してた」
「絵の具なわけないでしょ!」
「わかってるけど、アパートにいると思い出すんだ。昔の志茉のことを……」
そこから先の言葉を要人は言わなかった。
途中で言うのを止め、コーヒーを飲む。
「志茉。この間のことだけど、気にしなくていいからな」
――この間の事って、いったいどれのことだろう。
社長に就任後、ヤクザ風の服装で焼肉屋まで迎えに来たこと?
それとも仁礼木のおばさんと言い争った時の話?
「わかったわ」
とりあえず、返事をした。
要人は自分が巻き起こす非常識な事柄の数々を理解するべきだ。
今までの静かな生活は、すでに脅かされている。
それもまだ前哨戦である。
この先に続くのが、今まで以上の嵐になることを私はまだ知らない。
有能なのはわかるけど、要人の行動力はイノシシ並み。
決めたら一直線で、意思を覆すのは難しい。
「ああ。男の秘書がいるぞ。宮ノ入グループから一緒に連れてきた」
「男の人なの?」
「女だと、俺の貞操が危ない」
冗談で言ったのかと思ったけど、本人は真面目な顔をしていた。
どうやら、女性に迫られたことがあるらしい。
「う、うん……。ま、まあ、そうかもね」
普通は逆じゃないのかなと思いながら、コーヒーをふたつテーブルに置く。
「はい、要人。コーヒーをどうぞ」
要人はまじまじをコーヒーを眺める。
「どうかした?」
「いや。昔、ままごとの時に渡されたコーヒーが、絵の具だったからな。ちょっと思い出してた」
「絵の具なわけないでしょ!」
「わかってるけど、アパートにいると思い出すんだ。昔の志茉のことを……」
そこから先の言葉を要人は言わなかった。
途中で言うのを止め、コーヒーを飲む。
「志茉。この間のことだけど、気にしなくていいからな」
――この間の事って、いったいどれのことだろう。
社長に就任後、ヤクザ風の服装で焼肉屋まで迎えに来たこと?
それとも仁礼木のおばさんと言い争った時の話?
「わかったわ」
とりあえず、返事をした。
要人は自分が巻き起こす非常識な事柄の数々を理解するべきだ。
今までの静かな生活は、すでに脅かされている。
それもまだ前哨戦である。
この先に続くのが、今まで以上の嵐になることを私はまだ知らない。