社長はお隣の幼馴染を溺愛している
 なにも考えずに、その甘い感触を感じれば、悲しみを忘れて、どっぷりその中へ堕ちていける気がした。

「そこ……あっ……やぁ……」
「嫌か?」

 要人の問いかけに、首を横に振り、息をするのも忘れるほどの刺激に小さく喘いだ。

「んぅ……」
 
 恥ずかしさで顔を覆うと、顔を隠せないように私の手を要人が押さえつけた。
 私の顔を要人は覗き込み、そして言った。

「まだ、痛いかもしれない」
「……いい。痛くして。要人がわかるようにして……」

 その言葉に、要人は耐え切れなくなったのか、深く私を抱きしめた
 コンドームのパッケージを口にくわえ、破り、苦しそうに要人が息を吐いて、汗を落とす。
 ギリギリまで要人は、私が傷つかないよう我慢していたのだと気づいて、汗を指でなぞる。
 私のせいで要人が苦しむことはない。
 それを教えるために、私から要人にキスをした。
 要人がしてくれたのと同じキスをし、首に手を回して、奥まで。
 
「志……茉……っ……」
「あっ……いっ……」

 唇を噛みしめ、声を出さず、耐える私の両手を要人が握る。
 どこまでも要人は優しかった。
 痛みさえ、自分の悲しみを消すため、必要としていた私。
 その私の欲望を要人は満たしてくれる。
 私の中に要人を感じ、要人も同じように私を感じている。
 
「志茉……」
 
 お互いの熱に酔う――酔って、私たちは繋がったまま、キスを繰り返す。
 煽られ、理性をすべて吹き飛ばして、私を全部奪って。
 貫かれる痛みは、この先、要人を独占する罰。
 寂しさに負けた私が、最悪な選択をして、要人の将来に黒い汚点を残してしまった。
 ゆっくりと、徐々に激しく、要人が動く。
 要人の汗が、私の体に落ちる。
 綺麗な顔を歪ませて、息を乱す要人から匂い立つ色気。それは言い難いほどの美しい獣の姿で、それを支配する私は悪い女。
 痛みが甘い快楽に変わっていく。
 その快楽に身を震わせた。
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