社長はお隣の幼馴染を溺愛している
「要人は私をたぶらかしてなんていません」
「もちろんそうだ。兄妹のような感情しかないことは、わかってる。でも、こういう噂は、男側より、女の子のほうが傷つくだろう? だから……要人とは距離をとったほうがいいと思うんだ」

 ――要人にとって、私はよくないって思われてる。

 話の続きを聞かなくても、おじさんがなにをしたいのか、わかってしまった。
 
「志茉ちゃん。これにサインをしてもらえないかな。そうすれば、安心できるらしいから」

 怖い顔をしているおばさんに目をやり、私に一枚の白い紙を差し出した。

「これは……」

 書面に書かれていたのは、私が要人と結婚しない、恋人関係にはならないというような内容だった。
 そして、大きな誓約書の文字。

「志茉さん。サインしていただけるわよね?」
「でも、私……要人のこと……」

 最後まで言い終わる前に、おばさんは私の言葉を遮った。

「本当なら、要人の目の届くようなところにいてほしくないの! それを譲歩してあげたのよ!」
「おい。やめないか。すまないね……志茉ちゃん……」
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