社長はお隣の幼馴染を溺愛している
 でも、『要人はそんなことしない!』と言ってあげられなかった。
 要人なら、やりかねない。

「敵に容赦ないところが、宮ノ入(みやのいり)グループの会長や八木沢(やぎさわ)常務に気に入られたみたいよ」
「そ、そう……」
「だからね、志茉。あんた、絶対に浮気しちゃだめよ? 要人さんを殺人犯にしたくないでしょ?」

 恵衣にはなにも言ってない。
 でも、私をよく知る親友の恵衣。ちょっとの変化も気づいてくれる。

「恵衣。……ありがと」
「んー? なに?」

 今はまだなにも言えないけど、全部終わったら、ちゃんと説明しようと思う。
 うまく説明できるかどうか、わからないけど。

「午後も頑張ろうねって、言いたかっただけ」
「もちろんよ! 新しい洋服とバッグを買うために!」
「まだ買うの? クローゼットが厳しいって言ってなかった?」
「それはそれ。これはこれ。夏のバーゲンはこれから! 掘り出し物を見つけるのが楽しいんじゃない」

 バーゲン前にもしっかり購入してるのに、まだ買うらしい。
 実家暮らしだけあって、金銭的にも余裕があるからか、おしゃれに力を入れている。
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