世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




 しんとリビングが静まり返る。あかりの発言に総一郎はまた宇宙を背負った。


 何が起きた、お世話ってそっちのお世話も入ってるのか? ラッキースケベが始まる……? と総一郎の思考は忙しいことになっているが、あかりはふふんと鼻を鳴らし、総一郎を指さした。



「何から何までお世話して、すごーーーく健やかな生活させちゃうんだから」
「そっちかよ」
「え?」



 総一郎は思わず突っ込む。


 あかりはえへえへ破顔しながら手を差し出す。総一郎はその手をゆっくりと握った。ぷにぷにしたあかりの手のひらに、総一郎の心臓はグッときたが、本人は不整脈を心配した。


 ここから、世話焼き少女による、クールを気取った末っ子気質男子への愛育計画が始まる。


 そして数分後、二人は晩御飯前に和菓子の最中を食べながら、改めて自己紹介を始めることになるが、普通それは同居を決める前に済ませることだとズレた二人は気付かない。


 

***
< 44 / 267 >

この作品をシェア

pagetop