世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




「……………………かわいい」
「へ?」
「あかり、可愛いな」



 総一郎は、あかりに対してムズムズしたりグッときたりの正体を掴んだ。


 初めて異性に対して、総一郎は可愛いという感情を抱き、それを伝えることに羞恥心は全くない。なので、至って真剣大真面目顔だ。それに対してあかりはピキッと固まる。



「初めて会った時から、あかりと居ると優しい気持ちになるし、なんかムズムズふわふわするなと思ってた。これってあかりが可愛いってことだったんだな」
「……ん? え? 総一郎くん?」
「俺、誰かを可愛いと思ったの初めて」



 口数が少ないと思っていた総一郎が突然喋り出し、尚且つ自分を可愛いと連呼する。


 あかりが顔を赤くし、はくはくと口を開閉していると、総一郎は薄い唇の端をゆるりと持ち上げた。



「人間なのにうさぎみたいに可愛いな。すごい」
「あっ、そういうことね」



 あかりはホッとする。なんだ動物扱いか、焦って損したと胸を撫で下ろした。


 まさか、変な意味で可愛いと言われるわけがない。勘違いした自分を恥ずかしく思った。


 しかし、この総一郎のあかりに対する可愛いという感情は、今後エスカレートしていくことになる。

 

 
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