世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



 あかりは未だに惚けて、ぴょこぴょこ…と呟く総一郎の手首を引っ張り、ソファー下のカーペットへ連れていくと、そこに座らせた。



「おすわりしててね」
「俺犬じゃない」
「いいから、返事はワン」
「……ワン」
「うわ本当に言っちゃった! ごめん冗談だったのに……」
「……あかりはすごいな。なんか色んな意味でグッときた……」



 総一郎のワンでこっちまで恥ずかしくなり、あかりは頬を赤くして照れる。


 総一郎はあかりおねえさんがツボなだけあって、押しの強いのが嫌いじゃない。それどころか、もうやめてしまうのかと残念な気持ちになった。


 立ち上がったあかりを見上げ、総一郎は宇宙を背負っている。二人の関係はただの同居人である。


 あかりは総一郎が何にグッときているのかは理解できないが、とにかくこの子の頭を乾かさなければと脱衣所からドライヤーとトリートメントを持ってきた。


 

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