純愛
あぁ。

カンナちゃん。逢いたいよ。

カンナちゃん、カンナちゃん、カンナちゃんカンナちゃんカンナちゃんカンナちゃんカンナちゃんカンナちゃん…

カンナちゃんはつばきの最愛の人。
最高の幼馴染。最高の親友。つばきが世界でただ一人、心から愛した人。
そして最高の裏切り者。

海の上でとーか君はまだ少しもがいていて、必死に何かに掴まろうとしているみたいだけれど、泳げないから少しも進めない。

田舎の夜は本当に静かで、大きい声を出せば近くのおうちの人が気づいてくれるかもしれないし、とーか君だってそれくらい分かっているだろう。
でも、口を開けば開くだけ、海水がバカみたいに彼の口内も目も鼻も、穴という穴を襲う。

かっこわる…。

そう言えば、あの子…、とーか君と同じクラスの、私が嫌がらせをした…、ううん。嫌がらせをされているふりをしてくれたあの子。

あの子にももう少し、お礼を弾んでもいいくらい気分が良い。

復讐計画の為に、私が同じ過ちを犯すこと。カンナちゃんが嫌がらせに遭っていた時のことを彷彿とさせること。とーか君の逆鱗に触れて、それでも従順なふりをして、とーか君との関係に泣いてすがること。

その為に利用させてもらったあの子。
都会で暮らす女の子は、田舎暮らしの私達よりもずっとずっと、お金がかかる生き物なんだってこと、私は知っていた。
お金をチラつかせるだけで、あの子もすぐに私の味方になった。

あー、でも夏休み明けにとーか君が死んだって知れば、ちょっと面倒なことになるかもな。

消した方が、いいのかな。
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