Tear Flowers〜奪われた未来〜
フィオナはそう言うものの、シオンは首を横に振るばかりだ。

「下手に刺激しない方がいい。でも、人質が少ない方がいいな」

シオンはそう優しい目でフィオナに言った後、「エドワードさんと仰いましたよね?提案があるのですが……」と両手を挙げて立ち上がる。シオンの行動に、隣にいたフィオナはもちろん、他の乗客や犯人は驚く。

「お前、勝手に動くな!」

エドワードが拳銃をシオンに突き付け、バス内に誰のものなのかわからない悲鳴が響く。しかし、自分の命を彼が引き金を引けば失ってしまう状態だというのに、シオンは表情一つ変えない。まるで、フィオナのように。

「あそこにいる妊婦さんと子どもを解放してください。解放してくれるなら、私は大人しく席に戻ります」

エドワードが睨んでも、シオンは恐怖を顔に出すことはない。ただジッとエドワードを見つめる。

「チッ!」

エドワードは大きく舌打ちをし、運転手にバスを停めるように指示する。そしてバスが停車すると、妊婦と子どもを降ろしてくれた。

「……これでいいだろ?さっさと座れ」

エドワードがそう言い、シオンは「ありがとうございます」と頭を下げて席に座る。その時、フィオナはふと思ったことを口にしていた。
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