シングルマザー・イン・NYC
「――樹さんの考え通りがいいと思う」

もし日本で暮らすことになれば、慧の父親が樹さんであることは、自然と周囲に知られていくだろう。だったら、余計な憶測を招く可能性は排除してしまった方が良さそうだ。

「じゃ、そういうことで」

樹さんは満足げに頷くと、「次は雑炊な。どれにする?」ときいてくれ、私は「鯛」と答えた。

樹さんは慣れた手つきで雑炊を深皿に移すと、ラップをして電子レンジに入れ、ボタンを押した。そして私をもう一度抱きしめ、

「俺は昼食が遅かったから、いらない。悪いけど、一人で食べてて。シャワー浴びてくる」

と言って、キッチンを出ていった。 
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