シングルマザー・イン・NYC
私たちは、音をたてないように注意してリビングに入ると、ブラちゃんの首に、手紙を紐でくくり付けた。

目覚めた慧がベッドから落ちたり部屋の中で何かにぶつかってけがをしたりしないよう、消してあった灯かりを付け、そっとドアを閉める。

その直後に樹さんは私を強く抱きしめ、今までとは違うキスをしてきた。私もそれに応える。

長くて濃厚で、蕩けるようだ。
私の手には力が入り、樹さんのシャツの胸のところを、ぎゅっと握ってしまう。

ああ、昔もこんなふうだった――徐々にあの頃の感覚がよみがえってくる。

そのまま二人でもつれるようにして寝室に入り、樹さんは後ろ手でカチャリ、と鍵を閉めた。

そうして、お互いに着ているものをはぎ取るようにしながら、二人でベッドに倒れこんだ。
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