期間限定マリアージュ~四年越しの旦那様はエリート社長、誓いのキスが子作りの合図~
もうすぐ七ヵ月。
ハロウィンが終わったかと思えば、街は既にクリスマス色に染まっていた。
汐留の『高屋エルネ』も同じだった。

私は銀座の『帝都百貨店』に足を運んで、お取り寄せのベビー服を受け取り、通りを歩いていた。
「麻莉さん!!」

「んっ?」
訊き慣れた声に足を止めて振り向く。

「麻莉さん…銀座に買い物ですか?」

私を呼び止めたのはベージュのトレンチコートにブラウン系のスーツを着た槇村先生だった。
白衣姿でしか見たコトないので、一瞬誰かと思った。

「あ、はい…『帝都百貨店』に用事があって…」

「その紙袋…ベビー服や子供服で有名なブランドですよね…知ってます」

「あ…これを受け取りに来ました…槇村先生は?」

「あ…俺は銀座に兄の病院があって…その帰りです…」
二人で歩きながらお話をした。

片手にはブリーフケース。
槇村先生…普段は白衣だけど、浩明さんと同じでスーツ姿もとても似合っている。
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