ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


気のせい気のせい、と心の中で唱えながらも、やっぱりすれ違う人がコソコソ何かを話していたり、ジロジロ見られてる気がして。


不安になりながら教室のドアに手をかけて開けると。


「初花っ!」とめぐちゃんが焦ったように私の名前を呼びながらこちらにやってきた。


「あ、めぐちゃん、おはよ───」


「呑気に挨拶してる場合じゃないから!」


「へっ……」


なぜか一喝されて、ぽかんとする。
なんでそんなに怒ってるの……。
おはようって言っただけなのに。


「まさか、初花知らないんじゃ」


めぐちゃんの後ろから顔を出したちーちゃんが顔を歪めながらいう。


え。怖い。なにが。


「とにかく、教室出て話そ!」


しゅーちゃんのその声に教室を見渡せば、みんなこちらに大注目で。


コソコソと何やら話していた。


そして、


『やっぱり付き合ってたってこと?』


『だって2人揃って家に入ろうとしてるんだよ?』


そんな声が聞こえてきた。


え。


……なんだって?

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