ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
推しが恋人になりまして


学園祭が終わって1週間が経った11月下旬。


「白井さん」


「織くんっ」


「帰ろ」


織くんはあの日の告白を機に、学校でも、今まで以上に人目をはばかることなく私に話しかけてくるようになっていた。


嬉しいような、恥ずかしいような。


ずっと推しだった人から、周りにも伝わるような特別扱いを受けるなんて。


めぐちゃんたちは、早く付き合っちゃいなよなんて毎日口癖のように言うようになったけど、


広夢のことが未だに引っかかっていることもわかってくれているから、そこまで強く突いてくることもしない。


ただただ、私には幸せになって欲しいんだって言ってくれる、優しい友達だ。


私は、みんなに「またね」といつものように手を振ってから、織くんと一緒に校舎を出た。


織くんの気持ちを聞く前は、私たちの関係が変わってしまうことが怖かったけど、


織くんが普通に接してくれるおかげで、そんな不安が薄れている。


私って、あの織くんに本当に告白されたんだよね?って一瞬疑いそうになるほど、告白前と同じ。と言いたいところだけど。

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