ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


「広、夢……?」


声がしたほうに目線を向ければ、久しく会っていなかった幼なじみが、隣のドアの前に立ってこちらを見ていた。


中学の頃、真っ黒な短髪だった髪は伸びていて前髪はセンターで分けられている。


成長した。大人になった。……かっこよくなった広夢。


マンションで時々広夢を見かけては、徐々に変わっていく体格や髪型にドキドキしていた。


一時期は、ばったり会いたくないから、階段を使ったりして。


高校に上がってからは、エレベーターでふたりきりになってもどちらも無言で。


だから、今彼が私の名前を呼んで声をかけてきたことに驚きを隠せなくて、固まってしまう。


「あ、もしかして、彼氏?」


私のとなりにいる織くんに目を向けてそんなことを聞く広夢になんだかムッとした。


彼氏じゃないし……。

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