蒼月の約束
「どうして、私ばかりがこんな目に…」

朱音はそこまで言って、涙が出そうになったのをぐっと堪えた。
こんな非情な人たちの前では泣きたくない。

朱音は、下唇を強く噛んで自分を抑えたあと、無理やり笑顔を作った。

「私のことは気にせず」

くるりと踵を返すと、なるべく速足でその場を立ち去る。

後ろのエルフたちも慌てて朱音に付いてくるが、そんなことはどうでもいい。


朱音は泣きながら、走り出した。

自分がどこに向かっているのかの分からず、とりあえず遠く、遠くへ行きたかった。

突き放すような冷たい視線と、呪いのペンダントを着けさせるような非情なエルフたちから離れたかった。


ここに、私の居場所はない…


そう思うとずっと我慢していた涙がどんどんあふれて行く。

ペンダントを力強く引っ張るが、強力な接着剤で着けられているのか、鎖で手を切っただけで、全く首から外れる気配はなかった。


「なんなのよ、もうっ…」


いつの間にか、丘を登り頂上に着いていた。

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