妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「つーか、無理じゃね」


気付けば、みんな挑戦をやめていた。


ジャンプして取るのは無理だとわかったみたい。


「どうするよ。肩車とか?」


「お、いいんじゃね。誰がする?やっぱり和奏か」


「いいよ。……よし、爽こいっ!」


「え、私⁉」


爽は驚きつつも、しゃがみ込んだ和奏の肩に跨る。


「……ちょっと、変なところ触らないでよ?」


「とか言って、いつも触らせてるくせに~」


「うるさいっ!」


外野のヤジに爽が顔を赤くする。


あまり照れることがない爽だけど、揶揄われると案外照れやすい。



……とその時。


唐突に音が遮断された。


「え?」


目の前に真崎がいて、悲しそうな顔で俺の耳を塞いでいた。


「聞こえない……?」


弱々しい声。


また先生との約束を破っちゃった。

悲しませるなって言われたのに。


また、そういう顔をさせちゃった。



< 150 / 447 >

この作品をシェア

pagetop