妹を溺愛する兄が先に結婚しました
どのくらいそこにいたかわからない。


ブルブルと身体が震え始めた時。


「結咲」


今、1番聞きたくない声が届いた。


「……くしゅんっ」


「やっぱりここにいた。結咲、出ておいで」


傘を差した兄の姿があった。


「…………」


「風邪引くよ」


「……顔見たくない。帰って」


「結咲が出てくるまで帰らない」


「お兄ちゃんなんて大嫌い」


「うん……、わかったから。出てきな」


いつまでもこうしてたって仕方ない。


兄の言いなりになるわけではない。

と心の中で言い訳しながら穴を出て、兄の傘に入った。



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