妹を溺愛する兄が先に結婚しました
思い起こされるのは、カフェでの出来事。


ゆかなさんと兄とお出かけした日に偶然爽たちと会った時のこと。


カフェを出た後。

『ゆか姉の結婚相手が真崎先生なら避難しに行けると思ったけど』と言った和奏に、

『うちはいつでもウェルカムだよ』と答えた。


爽の気持ちを考えられていたら、そんな言葉出なかったのに……。


「……ううん。

たとえ結咲が言わなかったとしても、

お父さんと喧嘩した和奏はゆかなさんを頼って結咲の家に行って、それを和奏は内緒にしたと思う。

それで私は結咲に嫉妬する。

どうしてたとしても、その結果は変わらないよ」


爽は苦笑いを浮かべた。


「爽……、和奏から聞いたの?」


「うん。許婚のこと聞いたよ。結咲が言えないのも無理ないよね」


内容が内容だけに、本当のことを聞いたからってスッキリできない。

それがわかっていたから私も言えなかった。


「ごめん……」


「ま、でも聞けて良かったよ。

私だけ何も知らないまま守られているのは、嫌だから」


そうだね、と爽に同調するように私は小さく頷いた。



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