妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「先生は、まだその手紙を持っているんですか?」


「持ってるよ」


「なんで捨てなかったんですか?」


「……俺だって、捨てたかったよ。

けど、たとえ男に宛てた手紙だとしても、結咲が一生懸命書いたものを捨てられるわけねぇだろ」


その答えに、つい鼻から息が漏れる。


「先生らしいですね。……ま、そのせいでややこしいことになったんですけど」


「うるせぇ。お前に言われたかねぇわ」


「……?」


気付けばもう家の近くまで来ていて、雨も弱まっていた。



< 371 / 447 >

この作品をシェア

pagetop