闇夜ヨルの恐怖記録 1
夢の中でミハルはモデルになっていた。


スラリと長い手足が出る衣装を着ている。


「いいねミハルちゃん! 可愛い! 最高だ!」


カメラマンさんが気持ちのいい言葉を投げてくれて、ミハルはどんどんポーズを決めていく。


こんなに気持ちよくなれる職業、他にはないわね。


10分の休憩時間に差し入れのチョコレートを食べる。


その時マネージャーの女性が気まずそうな表情で近づいてきた。


「ミハルちゃん。あんまり沢山食べないでね? 次は水着撮影もあるから」


「あぁ。そうだっけ?」


言いながらミハルは2個めのチョコレートを口に放り込む。


「チョコレートを食べるなら、お昼のお弁当はやめておいてね」


「えぇ!? お弁当食べちゃダメなの?」


ミハルは不服そうにマネージャーを睨みつける。


「これを見て」


そう言って見せられたのはさっき撮影したばかりの写真だった。


写真の中のミハルは美しくて可愛らしくて、自分でも惚れ惚れしてしまう。


でも気になる箇所があった。


タイトなスカートを履いての撮影だったのだけれど、下っ腹がふっくらしているのだ。


ミハルは慌てて自分の腹部へ視線を向けた。


気が付かなかったけれど、ちょっと太ってしまったかもしれない。


「わかった。お弁当は我慢する」


ミハルは大きなため息を吐き出してそう言ったのだった。
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