バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「もちろんよく知っているよ。光先にも来ていたからね。直接話をしたことはないけど、男の僕から見ても、憧れだった。話術も引き込まれるし、明るくて場の雰囲気が変わる。確か、家の都合でニューヨークに行ったとか」
「そうです。親戚の方がニューヨークで起業していて、そこからどうしてもってことで、うちを退職しました」
「それで、二海堂さんがどうしたの?」
「どれだけ男が声をかけても振り向かないあの緑川さんが、付き合ってた元カレです」
「うそ・・・」
「同期の2人は仕事でも息ぴったりで、もちろん、見た目も美男美女、誰もが羨むほど文句のつけどころがない最強カップルでした」
想像するだけでわかる。悔しいけど似合っている。

「緑川さんは、会社を辞めてついてきて欲しいと言われて、かなり迷ってました。実はその頃の人事課長が、介護のために九州の実家に戻ることになり、他から来る人は信頼できないと、緑川さんに社長から課長昇進の話があった直後でしたから」

景山くんは遠くを見つめ、当時を思い出す。
「緑川さんは残ることを選択しました。あとは2人の間のことなので詳しくはわかりません。ただ、それから今まで二海堂さんの話は聞いていません」
「まだ、二海堂さんのこと・・・」
「それはわかりません。僕でもその部分は触れてはいけないことと、話したことはないです」

僕はショックでそれ以上、言葉がでなかった。
「じゃあ、あまり時間がかかるといけませんので、説明に入りますね」
景山くんが説明をしてくれている内容は、ぼんやりしか耳に入って来ない。
二海堂さんが相手なんて、絶対に勝てっこない。
でも・・・
ここまで来たんだ。
引き下がることはできない。
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