【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉


 ますます冷えてきたし、こんな寒い日は温まる豚汁に限る。なんかこう、心までホッとする。

「大分冷えてきたな」

「うん。寒くなってきたね」

 気が付けばいつの間にか夏は終わっていて、10月に入っていた。 寒さが少しずつ強くなり、そろそろコートが必要なのでは?というような季節になってきた気がする。

「後でコートとかセーター、引っ張りだすしかなさそうだな」

「そうだね。その方がいいかも」

「所でそっちはどうだ?犯人、捕まったか?」

 そう日向から聞かれたわたしは「ううん。まさかの振り出しに戻った」と答えた。 

「え?あの不倫相手が犯人じゃなかったのか?」

「うん。……しかもあの不倫相手は、被害者の不倫相手なんかじゃなかったみたい」

 わたしはそう伝えた後、生姜焼きを口いっぱいに入れた。

「不倫相手じゃなかった?」

「うん。伊藤綾香はそう言ってた。被害者の方から、彼女に迫ってきたってね」

 そう言うと日向は「え、被害者の方から迫ってた?」と問いかけてきた。

「うん。……しかも彼女、交際なんてしてないって、交際自体も否定してたし」
< 104 / 159 >

この作品をシェア

pagetop