【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉


「……え?」
 
 日向のその腕が、わたしの左手をガッシリと掴んできた。
 そしてわたしに一言「行くな」と言ってきた。

「行くな。俺以外の男とデートなんて……。絶対に行くな」
 
 すごく真剣な眼差しで、日向にそんなこと言われたら……。

「……考えとく」

 ヤキモチ妬いてるのかなって、なんか嬉しくなってしまいそうだった……。
 こんなこと、日向本人には言えないけど……。

「はあ?考えとくって、何だよ……」

 なんてちょっとしょぼくれた様子の日向が、ちょっとだけ可愛く見えたのは、日向には内緒だね……。

「考えとくは、考えとくだよ。 じゃあね」
 
 わたしはニコニコの笑顔を振りまいて、その場から去った。

「……あれは、ヤキモチだよね……?」

 日向が嫉妬してるんだ……。日向が嫉妬するなんて、ちょっと意外だけど……。
 それもまた、悪くないとさえ思う。

「安心して、日向……」

 わたしはそのデートに、行く気はない。だってわたしの想い人は……。

「……日向しか、いないんだから」

 門野さんの気持ちは嬉しかった。……けどやっぱり、日向がいい。
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