天使と悪魔とお嬢様
翌日、学校の昼休み
友人の佳代と校庭の見える窓際でお弁当を弁当を食べている。
天気の良い日は、教室の窓を開けて校庭の方を向いてお弁当を食べる。
風が気持ちよく、私達のお気に入りだ。
すると、佳代は突然、目を輝かせて悪戯な表情をする。
「ねぇねぇ、よくアニメでさぁ、イケメンの執事がお嬢様にエッチなことする場面がよくあるよね…恵美も執事になにかされたりしないの?」
「--------------------ブッ----ゲホゲホ!!」
私は食べていた物を吹き出しそうになった。
まさに昨日、龍崎からキスをされたばかりだ。
思わず顔が真っ赤になるのが分かる。
「---------め-----め-----めぐ---恵美!まさか本当にあるの?冗談で言ったのに…」
「-------う-----うん---少しだけ…」
「--------------ま-----まさか----あの超絶イケメン執事に…!!」
佳代は目を大きく見開いて、気絶しそうなほど驚いている!!
(…そうだよね…あの二人は異世界レベルのイケメンだもんね…)
今日のお迎えは早乙女だった。
昨日のキスの件もあり、龍崎は避けたかったので、少し安心した。
相変わらず、女子高生にキャーキャー言われている早乙女は、ニコリと微笑み女子高生達に手を振った。
さらに黄色い声が飛んでくる。
「お帰りなさいませ、恵美様。」
「益々、早乙女のファンが増えているみたいだね…すごい人気!」
「クスッ…恵美様、妬いてくれるのですか?嬉しい限りです。」
「そ…そんな…妬いてなんておりません。」
プイっと横を向いた私に早乙女はクスッと笑った。
「恵美様、龍崎から聞きましたよ…昨日は龍崎と初キスをされたそうですね…私はすごく妬いております…」
「----------っえ!---」
部屋に着くと、早乙女が温かい紅茶とクッキーを用意してくれた。
アッサムティーにたっぷりのミルク。
シンプルなバター風味のクッキーだ。
「ありがとう。紅茶がいい香りだね。」
「恵美様、熱いのでお気を付けください…よろしければ、お手伝いいたしましょうか?」
「…っえ?お手伝い?」
私は意味が分からず、首を傾げていると、美しい早乙女の顔の口角が上がった。
早乙女が紅茶のカップを持ち、熱くないように息を掛けて冷まし始めた。
それだけでも、何故かとても恥ずかしい。
そして紅茶が飲み頃の温度になった頃、何故か自分の口に紅茶を含んだ。
「…っえええ…その紅茶は…私のでは?」
次の瞬間、唇に柔らかい感触…
「-------------------------------っう!!」
紅茶の優しい香りが口の中に広がった。
あまりの突然なことに頭が追い付かない、気づけば早乙女が紅茶を口移しで飲ませてくれたようだ。
「----------------------------------な--------なんで----口移し---!!」
驚く私の言葉がもう一度遮られた。
口の中に紅茶の甘い香りが広がる。
私の口角から飲み込み切れなかった紅茶がツーっと垂れて来た。
早乙女は唇を離すと、垂れて来た雫を親指で拭き取り、指を舐めた。
ゾクッとするほ色気を帯びた早乙女に気絶しそうだ。
「…恵美様、お味は如何でしょうか…?」
「さ…早乙女…いきなり…何をするのですか!!」
「…先ほど、お伝えしましたよね…私が昨日の龍崎のキスに妬いていると…」
早乙女の美しい瞳に見つめられると、動けなくなってしまう。
顔がみるみるうちに赤くなってくるのがわかる。
心臓が煩いほど鳴っている。
どうかなってしまいそうだ。
「恵美様、もっとお飲みになりたいでしょうか?…欲しければ、私におねだりをしてください。」
「--------そんな---------恥ずかしいこと-----言えません!」
「もっと欲しいと仰らないと、お紅茶はもう差し上げませんよ。」
「--------------------」
何が起こっているのだろう。
私はただ固まってしまう。
「---------何が-------欲しいのですか?」
「-------紅茶が-----欲しい----です-----」
「------畏まりました。」
早乙女から甘く麻酔のような紅茶がたくさん注がれる。
頭がボーっとしてくらくらしてくる。
私はどうなってしまうのだろうと不安になった。