色づいて、濁り、落ちていく
情が止まらない
それから三ヶ月経った。

美冬の荷物は次の日には全て屋敷に運び込まれ、住んでいたアパートは解約され、三日もしない内に手続き等全て氷河の部下が行っていた。

美冬はこの三ヶ月ずっと氷河の傍で見守り、身の回りの世話をしながら過ごしていた。

鷹巣組のみんなは、氷河の変わりように驚いていた。
“あの”氷河が穏やかに微笑み、優しい言葉をかけ、美冬の意見を聞き入れる。

穏やかに微笑む、優しい氷河、銀蔵以外の意見を聞き入れる━━━

そんなの、今までの氷河には欠片もなかったのだ。

「んん…」
朝、美冬が目を覚ますとベッドの上から肘枕で氷河が見下ろしている。
これは、毎朝のことだ。
「おはよ、美冬」
「あ…氷河さん、おはようございます!」
微笑み合う二人。

そして氷河の着替えを手伝う。
氷河にジャケットを着せながら話しかけた。
「氷河さんは毎日寝れてますか?」
「え?ちゃんと寝てるよ」
「そっか。良かったです。
私、氷河さんが寝てるとこ見たことないので。
いつも私が寝てしまうギリギリまでお話してるし、朝起きると氷河さんが既に起きていて見下ろしてる。
なのでもしかしたら、私が越してきて寝てないんじゃないかと思ったので…」
「逆だよ」
「へ?」
「美冬がいないと寝れない」
「え?」
「先週仕事で帰れなかった時、マンションで寝たけど寝れなかった。
かなり疲れてたのに、一睡もできなかった」
「そうだったんだ…」

「だからもう…僕の生活に、美冬はなくてはならない存在なんだ」
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