色づいて、濁り、落ちていく
情が募る
屋敷前の門で下ろされ、その大きな屋敷を前に美冬は目を真ん丸にして見上げていた。

「す、凄いお屋敷…」
「美冬、手を繋ぐのはいい?」
「え?は、はい!」
差し出してきた氷河の大きな手を、遠慮がちに握った。
「美冬って、貧乏なの?」
「え?」
「だって手は小さいし、腕も細い。
ご飯食べてないの?」
「いえ、贅沢はできないですけど、普通に食べてますよ」
「そうなんだ。なんか、折れそう…」
「そうですか?(笑)」
少し微笑み、氷河を見上げる美冬。

「…///」
「氷河さん?どうしました?」
「ねぇ、さっきから胸が痛いんだけど、これ何?
僕、病気なの?」
「え?胸が!?ど、どうしよう!病院に行った方が…」
胸を押さえ、苦しそうに顔を歪める氷河に慌てる美冬。

「大丈夫ですよ。病院に行ったとこで、治りません。
それよりも、ここで立ち話は危ないです。
若、早く屋敷内へ」
「あぁ、そうだね」
門が開き、更に美冬は驚愕する。

強面の男達がズラッと並んでいたからだ。
「「「お疲れ様ですっ!!」」」
一斉に頭を下げた、男達。

思わず、氷河の手を強く握った。
頭を下げる男達の真ん中を颯爽と歩く氷河と、氷河に手を引かれ俯いて歩く美冬。

「美冬」
「は、はい!」
「もう大丈夫だよ。奴等はいない」
「あ…そうですね」
パッと顔を上げると、優しく微笑む氷河が見ていた。
「…///」
思わず顔が赤くなり、また美冬は俯いた。

「美冬、どうしたの?僕を見てよ!
僕のこと、嫌いなの?」
「あ…いえ…は、恥ずかしいだけです…」
「恥ずかしい?なんで?」
「だ、だって…氷河さん、カッコいいので…」
「うん、よく言われる。
でもそれがなんで、恥ずかしいになるの?」
「照れちゃって…」

氷河からすれば、感情に関することは幼い子どもと一緒だ。
だからわからないのだ。
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