色づいて、濁り、落ちていく
そして……情がなくなる
「若、今日は佐原組との会合です」
「ん。美冬を部屋から出すなよ」
「はい」

あれから、どのくらい経ったのだろう。
氷河は美冬を“監禁”している。

二人の部屋に閉じ込めて、美冬は一歩も外に出られない。
銀蔵や仁士が何度も氷河を諭したが、全く聞く耳を持たず氷河は昔の“感情”のないロボットに戻っていた。

しかし一つ違うのが、美冬には優しく微笑み、穏やかに話しかけて、慈しむように愛しているということ。




銀蔵と仁士が話している。
「俺は間違ってたな」
「オヤジ?」
「氷河にちゃんと“感情”を教えてやるべきだった」
「はい。俺もちゃんと若に教えるべきでした。
結果的に、美冬を“地獄”に落としてしまった…」

「やはり…人を愛するのは難しい」

「はい。ほんと、厄介です。
“感情”って!
気持ち一つで、こんなに人間を苦しめたり、幸せにしたりする」


非情の男、鷹巣 氷河。
情を宿らせ“愛”を知った。
でも知ったのが、あまりにも遅かった━━

銀蔵の言う通り、自分を苦しめ、周りを巻き込み、壊れていった。





「美冬、愛してるよ」
「氷河さん、私も愛してます」

二人はお互いへの“情のみ”をもち、今日も二人だけの“愛情”の中に落ちていく……



これは、氷河の“初恋”のお話━━




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